今日は、果樹栽培の中の基本技術である「接ぎ木」についてです(^-^)
今回は「切り接ぎ」。切り接ぎは、名前のとおり台木を切って穂木を接ぐという手法です。
切り接ぎはどんな果樹類でも応用が可能ですが、県内で特に多い柑橘でやってみましょう♪
まずは、穂木の準備。
増やしたい品種の樹から1年生枝もしくは2年生枝を採取し、葉を葉柄を若干残しながら落とします。
で、穂木の完成。
ちなみにまだ芽が動かない時期に穂木を採取し、時期まで冷蔵庫等に保湿しながら保管します。
次に台木です。
接ぎ木は同科属の植物同士を接合させる技術ですが、柑橘の台木はカラタチをよく使います。
カラタチは落葉性の柑橘ですので、今時期はトゲまみれです( ゚Д゚)
接ぎ木には鋸・剪定鋏・接木ナイフ・接木テープなどが必要です。
特に接ぎ木の成否を決定づけるのは接木ナイフ。
接木ナイフは、自重だけで新聞紙が切れる程度の状態まで研ぎます。
私は田主丸型の曲刃ナイフを愛用しています。
いよいよ接ぎ木作業です。
まず台木を「接ぎたい」位置で切ります。
次に、切り口の成型です。これをやらない人が多い!
ナイフで切り口表面を滑らかに切り取ります。
これをすることで、事後のカルスの巻きが早くなります。
左が削る前、右が削った後です。
次に穂木の成型。
ナイフを使って接ぎ穂にしていきます。
穂木の芽は真ん中の下の2~3芽と上の2~3芽は未成熟芽なので使いません。
切る際には断面を平らにするため、必ず一太刀で切ります。
まずは30~40°角で切り込む。これは台木の外側にきます。
真裏に返して、角度をつけずに削る。これが台木の接着面になります。
1~2芽をとって上部を切除。
接ぎ穂の完成です。
ここで注意点ですが、接ぎ穂の先端は写真のように可能な限り垂直に成型する必要があります。
そして、いよいよ台木に接ぎ穂を挿します。
樹皮表面の形成層がある緑色部分をしっかり確認するため、接ぐ部分を少し削ぎます。
接ぎ穂のサイズに合わせるように形成層が露出するように樹皮から木質部に入り込むよう切込みを入れます。
これに接ぎ穂を挿すとこんな感じ。
この時の注意点ですが、穂木側の形成層と台木側の形成層が写真のようにぴたりと合う必要があります。
ここまできたら、あとは固定です!
まずは、確実に台木と穂木を固定します。
癒合促進のため、シーバルテープを使います。
シーバルテープは遮光性が高くカルスの形成を助けるのです。
写真のように確実に台木面を覆いながら固定します。
次に乾燥防止・雨水浸入防止のためのニューメデールテープを巻きます。
ニューメデールテープは芽の伸長で破れる優れものです。
ここでの注意点は、テープを巻く際に芽の上は必ず1回のみ被覆する事です。
これでやっと切り接ぎも完成です!!
あとは癒合→発芽となるのを待つばかり!
ここまでみれば誰でも接ぎ木ができるようになっている(^-^)??
はず(笑)
果樹栽培をされている方、ぜひご自宅で実践を!!